この春、自分あるいは家族が新しい生活に踏みだされた方はたくさんおられるでしょう。もしかしたら全然縁のなかった土地で新しい出会いも増えて、ワクワクしながら過ごされている方もおられるにちがいありません。
新生活が始まると必要なものを買い揃えていきます。値段やデザインや使いやすさと睨めっこしながら自分で選ぶのは本当に楽しいものです。しかし当然ものは増えていきます。そして一年も経てばそれ以前のものと同化してわちゃわちゃしてきます(私の個人的な考えですが)
「すっきり片付いた家で暮らしたい」
すっきり片付けて快適な家で過ごしたいーという悩みは多くの老若男女全世代に共通するものかもしれません。綺麗な家に住んでいる人はそれだけで少し偉い人のように思ってしまうほどです。
えらそうなことは言えませんが家を片付けるには人間の心理的な偏りを理解して、より合理的に、計算高くなる必要があります。
値段が高かったから、思い出の品だから、これから必要になるかもしれないから、人は自分で買ったものを捨てない為の理由をいくらでも思いつくことができます。
行動経済学の「サンクコスト」という考え方でいうと、もう既に支払ってしまったお金は戻らないので、今の時点とこれから先の値打ちがそのものの本当の価値ということになります。それを見る度にいつも楽しい気持ちになるのであれば、手元に置いておく価値があるかもしれませんが、高かった上等な服も、三年着ていなければこれからもおそらく出番はないでしょう。
あと、日本の家屋は狭くて置いておくだけで、場所を取り、肝心の人が窮屈に暮らしていることも見逃せません。損得で考えると物をたくさん置いているだけで、常に損をしているのです。
家が綺麗に片付いていると、物を探す時間も短いです。必要な物を整頓されたところから見つけるのは物の多い家から探すよりはるかに簡単で、効率が良いことはどなたにも依存がないでしょう。また高齢になってくると、どこに何を置いたか記憶も怪しくなってきて、トータルすると気の遠くなるような時間を探すために無駄に費やしているのです。
日々の暮らしの中では「失敗した」「無駄になった」ということが後で良い方に転がることはよくあることで、何がなんでもうまくいきたい、損をしたくないーというのも私はあまり良いことだとは思っていません。が、こと片付けに関しては「全くもって自分は損をしている」と考えて、計算高くなっていただきたいと考えています。このことを実現できると全く違ったワンランク上の毎日が待っていることは間違いありません。