皆さんは「成年後見制度」という制度をご存知でしょうか。認知症や何らかの障害が原因で、判断能力が不十分な人が不利益を被らないよう保護するために設けられた制度です。
一方で現在日本の生涯未婚率は男性が28.3%、女性が17.8%になっています。つまり男性の5人に一人、女性の3人に一人がおひとりさまのまま老人になるということになります。
でもよく考えると、もし結婚していても、一緒に死ぬことはできないので、やっぱり生き残ったどちらかがおひとりさまになるし、子供がいたとしても仕事が忙しかったり、遠くに住んでいて、親身になって支えてもらうのは難しいことも少なくないでしょう。今は元気で、何でもできる、誰にも助けてもらわなくても大丈夫ーそう思っている方も多いのではないでしょうか。そんな方にも知っておいて欲しいのが「ひとりでは死ねない」ということです。誰かに手助けしてもらわなければならない時が必ず来るのです。結婚してたって、子供がいたっておひとりさまになるかもしれない覚悟が必要なのにーです。
私は昨年の10月に煩雑な作業と手続きを半年以上かけて、ようやく父の従兄弟にあたる長期入院中の高齢女性の任意後見人になることができました。それまで立て替えていた入院費などの医療費から不動産の固定資産税まで、後見人になるまで決して銀行から下ろすことが出来なかった本人(被後見人)の貯金から返してもらうことができました。本人の貯金は本人しかおろすことが出来ない大原則が(コロナ禍で本人の外出許可がおりない事態)にも普通に適用され、最終的に任意後見人になるという形を取ることになりました。(最初は体調を崩した父の代理で入院費を払うというだけの用事を引き受けただけだった)
後見という制度は知っていたが、実務をやったことも、やっている人を見たこともなかったので、後見申請と並行して、たまたま市報で見つけた「市民後見人養成講座」に少し勉強になればーと、軽い気持ちで参加することにしました。ところがそれは国と自治体が強力に推進している真剣そのものの講座だったのです。その道の多方面の専門家による中身の濃い講習が月2回終日行われ、基礎講習から実務実習(現場での実習は去年は実施されなかった)まで秋から春までのロングラン講習でした。この講座を修了してはじめて「市民後見人バンク」に登録され、近隣の後見を必要とする方の後見人(報酬なしのボランティア)になれるのです。私見ですが、親族で後見人になろうとされる方は全員この「市民後見人」講座を受講されると良いのではないかと思いました。このことについてはまた別の機会にお話しできたらと考えています。
成年後見制度では親族、家族は少しでも資産のある人の後見人になることはできません。今はほとんどが専門家、弁護士や司法書士、介護福祉士などが引き受けていますが、私は本人とその家族の暮らしや気持ちに寄り添いながら経済的な安定にも役に立てるであろう親族FPもその一翼を担えるのではないかと考えています。ひょんなことから後見人になったのですが、今は自分のライフワークとしてFPが、多くの老後に不安を持つ方々の後見人になれるような活動をしていきたいと考えています。